『A.I』覚書
『A.I.』(現代:A.I. Artificial Intelligence)』
制作年:2001年
原作: ブライアン・オールディス
『スーパートイズ』
出演者:ハーレイ・ジョエル・オスメント
ジュード・ロウ
フランセス・オコナー
等
以下、個人的な解釈とあらすじ覚え書き。
視聴日:2017.01.15
あらすじ
地球温暖化によって海面の水位が上昇し、海に近い幾つかの都市が飲まれ、妊娠・出産に厳しい許可制度が敷かれた世界。人々の文化は発展していき、その中でも”ロボット”の技術はめざましく向上していき、痛覚と危機回避能力を備えたロボットまでが開発されていき、人間と同じ愛をプログラミングされた少年型ロボット”デイビット”が開発される。
デイビットは開発会社の社員、ヘンリーとその妻モニカに試験を目的として送られる。彼らの息子は不治の病で冷凍睡眠の状況にあり、治る見込みはなかった。会社がテスターとして彼らを選んだのも、それが理由であった。見た目は本物の少年ロボットに夫婦は違和感をつのらせながら、モニカはデイビットを愛することを覚悟し、自分を”ママ”として認識させる。
しかし、奇跡が起こる。ヘンリー・モニカ夫婦の息子、マーティンが家に帰ってきたのだ。デイビットは初めて”本物の人間の少年”を目にする。マーティンはいきなり自分の家に入ってきたロボット少年に対抗心を燃やし、いじわるをする。デイビットも、自分がロボットであるという劣等感、そして、モニカの愛を受けたいという欲望を抱くように成る。
自身に向けられる不気味なほどの少年の愛と、少年ロボットが巻き起こす騒動、そしてマーティンの生命が脅かされたことを受け、モニカはデイビッドを捨てることを決意する。
時代遅れのスーパートイのテディと共に森に捨てられたデイビッド。モニカに捨てられた森のなかで、彼女に愛されるために『ピノッキオ』に出てきた人形を人間に変える力を持った”ブルー・フェアリー”を探すたびに出ることを決意する。
《登場人物》ネタバレあり
デイビット
愛情をプログラミングされた少年型ロボット。物語の中では最新鋭のロボットだが、その動作や愛情表現には不自然さが残る。
モニカ夫婦のもとで試験的に生活をするが、不治の病から回復した夫婦の実の息子、マーティンが持つ”本物”に嫉妬し、渇望していく。
ロボットが元来持っていた痛覚と危機回避能力を用い、他者への庇護を求めることで本物の子供らしさが現れる。
ジゴロ・ジョー
デイビットが旅の途中で出会い、ともに旅をした男性型のセックスロボット。客の好みに合わせて自身の容姿を変えることができる。女性客の他殺したいに遭遇したことにより殺人事件に巻き込まれ、警察に追われる身と成る。自ら営業許可証を剥ぎ取ることで無許可のロボットとして認識され、ジャンク・ショーの見世物になるところを、デイビットがきっかけで命拾いすることに成る。
タップを踏むことが癖で、芝居がかった仕草をする。女性客がセックスロボットに求めるものがプログラミングされており、彼の全てを構成しているのは”理想の男性像”かも知れない。
テディ
昔マーティンに送られた、テディベアのような見た目をした時代遅れのスーパートイ。マーティンからデイビットに譲られ、その後長い年月を彼とともに歩むことに成る。
可愛らしい見た目とは裏腹に、中年男性のような仕草・声をしている。
体も力も小さいロボットだが、彼がデイビットの長旅の助けとなったのは間違いない。
モニカ
デイビットを息子として起動させ、”ママ”として認識されている人間の女性。彼に違和感を感じながらも、デイビットを愛することを覚悟するが、その不自然な愛情表現と、家族の命が脅かされたことにより、デイビットを森のなかに捨てる。
マーティンに向けられた愛とは種類や重量が違うかも知れないが、デイビットに向けた感情もまた愛である。しかし、中途半端にデイビットを愛し、彼を捨てきれず、愛しぬくことができなかったモニカは、冒頭で討論されていた”ロボットが持つ愛情に対する責任”を果たせていない。それは、彼女を取り巻く本物か否かという柵があったせいかもしれない。
マーティン
ヘンリーとモニカの人間の息子。不治の病で冷凍睡眠に入っていたが、奇跡的に回復する。デイビットが持っていない”本物”を持っていることで優越感を感じるのか、デイビットに度々意地悪をする。彼の悪戯と、彼の友達の悪戯が直接的な原因となりデイビットは捨てられることに成る。
《つぶやき》
2000年後を描くシーンで出てきた知的生命体(?)は地球外生命体だと思ったが、どうやら人間が滅びた跡も残り、進化を続けたロボットらしい。たしかにそう言われれば、ロボットの描写をしているところもあるが、SF映画であるということも有り、ちょっとそれがわからなかった。
ロボットを作り出したのは人間でありながら、それらを迫害し、壊していくといくのも人間であるという傲慢さがよく描かれていた。
原作も呼んでみたい。
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